授業研究プロジェクト

①組織(メンバー)

代表:
梅津正美、原田智仁、森才三
メンバー:
伊藤直之、井上奈穂、茨木智志、加藤寿朗、桑原敏典、米田豊、権五鉱(慶尚大学校)、中本和彦、峯明秀、吉水裕也、Nasution(University Surabaya)、ToddKenreich(Towson University)、小谷恵津子、山内敏男、菊池八穂子、紙田路子、佐藤章浩、祐岡武志、大西慎也

②活動内容

2012年度活動

【第4回授業研究プロジェクト会議(社会科授業研究公開セミナー)】
日時:
2013年3月23日
概要:
「社会科授業研究への質的アプローチ」西條剛央(早稲田大学)
「韓国における社会科授業研究の現況と課題」
権五鉉(韓国慶尙大学校)
【第3回授業研究プロジェクト会議】
日時:
2012年11月24日
概要:
「社会科教育研究における授業開発の方法と課題」
桑原敏典(岡山大学)
【第2回授業研究プロジェクト会議】
日時:
2012年8月12日
概要:
「社会科授業研究の教育実践学的方法論の構築をめざして-鳴門社会科教育学会研究大会シンポジウムから-」
米田豊(兵庫教育大学)
「学習者の内面の表出を図る社会科授業のPDCaサイクルの実証研究-柴山秀範教諭「くらしを守る人々-堀川の安全-」」
峯明秀(大阪教育大学)
【第1回授業研究プロジェクト会議】
日時:
2012年6月10日
概要:
「社会科授業研究の教育実践学的方法論の構築をめざして-問題の所在-」
梅津正美(鳴門教育大学)
「授業改善におけるPDCAの検討課題ーフィードバック過程を中心に-」
井上奈穂(鳴門教育大学)

2012年度の活動予定

第2回研究会の開催(2012年6月10日、兵庫教育大学大阪サテライト)
  • a. 前年度の課題について一定の方針を固め、共通認識を深める。
  • b. 実践家との協働の方法と具体策について検討する。
  • c. 各自で授業研究のケーススタディに取り組む。
第1回授業研究セミナーの開催(後期)
  • a. 方法:学会の研究大会等との共催も検討
  • b. 内容:研究者と実践家の協働のモデル事例、他  ※ プロジェクト研究の問題意識・目的・方法等については、別記した。

2011年度の活動

第1回研究会開催(2011年11月23日、兵庫教育大学大阪サテライト)
  • a. 目的:実践的な授業研究方法論の構築と研究の推進・発展、研究者と実践家の協働
  • b. 方法:兵庫教育大学連合大学院共同研究プロジェクトとの提携
  • c. 内容:社会科授業研究の方法論の究明
  • d. 課題:全社学Pでどこまで究明するのか。

各自の研究分担をどうするか。

1.問題意識

これまで社会科教育学研究は、授業研究の方法論として主要な2つを提案してきた。
第1は、「授業開発研究」の方法論である。
目標・内容・方法を貫く授業構成論を明示し、理論と授業モデル及び授業計画・実践とを結びつけて論理実証的に説明することが基本的な方法であるとした。
第2は、「授業分析研究」の方法論である。
実践の事実を確定し、その分析を通して授業構成論を抽出するとともに、実践と理論のズレを指摘し改善の手だてを論じることが基本的な方法になると説いた。
「授業開発」と「授業分析」という方法は、授業研究に対する批判可能性を高め、その科学化に貢献してきた。
他方で、学校教員の視点からは、開発研究について言えば、授業構成論にもとづく授業モデルの提案にとどまり、子どもの学びの実態や初等・中等教員それぞれの教育観、問題意識、あるいはキャリアステージの違いをふまえた授業の実践可能性を高めることには必ずしも貢献していないとの批判がある。
また、分析研究についても、抽出された「優れているとされる理論」の有効性に関する検証の方法やエビデンスの提示が十分になされないことへの不満が述べられてきている。
そして、社会科教育学研究が、 授業研究を効果的に推進するための具体的な要件と評価規準を学校教員にも共有可能な形で提示できていないために、学校等の授業研究が汎用性のある研究へと発展していきにくいとの指摘もなされている。

2.プロジェクト研究の課題-社会科授業研究の教育実践学的方法論の構築-

今、社会科授業研究に求められているのは、授業開発と授業分析の2つの方法を基盤にしながらも、真に理論と実践、研究の目的・理念と教室のリアリティとを結ぶ授業研究の方法論、すなわち教育実践学的方法論を構築し、それにもとづく研究成果を蓄積していくことであろう。
次の4つは、そのための主要な研究課題になるものと考える。

  • a子どもの学習の特性の解明とそれをふまえた授業開発の手法の確立
  • b研究レベルで提案された授業理論・モデルの、学校教員による実践への変換の論理の解明と具体的な手だての提案
  • c授業理論の有効性を実証する授業評価の方法の構築
  • d授業研究を推進するための参照点となる社会科授業研究の評価規準(スタンダード)の構成
3.プロジェクト研究の目的と方法

本プロジェクトでは、上記4つの研究課題を統合した研究目的を次のように定めた。
社会科授業理論の有効性を実証するために、児童・生徒の社会認識発達の特性の理解を基盤にしたPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの授業研究方法論を提案するとともに、社会科授業研究スタンダード(試案)を構成することを通して、教育実践学としての社会科授業研究のあり方を示すことを目的とする。

本研究の目的を達成するために、以下の方法を採る。

  • (1)児童・生徒の社会認識発達の特性を明らかにするために調査とデータの分析を行う。
  • (2)「社会認識力(事実判断・推論能力)育成型」・「社会的判断力(価値判断・意思決定力)育成型」・「批判的思考力育成型」・「方法知(社会的探究技能)育成型」の4類型を措定し、授業構成論と学習評価論を明示した授業開発を行う。
  • (3)開発した授業を試行し、授業評価を通して理論の有効性を検証する。
  • (4)理論の有効性の検証をふまえて、授業改善の方法を定め改善し、授業を再試行する。
  • (5)(1)~(4)の方法の成果と課題を整理し、最終的に社会科授業研究スタンダード(試案)を構成する。
4.プロジェクト研究により期待される成果

本プロジェクトの実施により期待される成果は、以下の5点である。

これらは、上記5つの方法に対応して引き出される。

  • (1)授業開発の基盤になる児童・生徒の社会認識の発達特性に関する知見を得ることができる。これにより、教材の論理と児童・生徒の学習の心理とを結合させた授業開発と実践への途を拓くことができる。
  • (2)4つの授業類型に関する授業理論と授業モデルを提示することにより、学校教育における思考力・判断力・表現力等を培う社会科授業のバリエーションを広げることができる。
  • (3)授業評価の方法を構成し授業実践に適用することを通して、学校現場に授業理論の有効性に関するデータを提供できる。
  • (4)授業改善の方法を定め授業実践に適用することを通して、学校現場にPDCAサイクルにもとづく授業研究の具体的な方略を提示できる。
  • (5)社会科授業研究スタンダード(試案)の開発により、学校現場における授業研究の方法に関する客観性と汎用性を確保し、相互批評が可能な授業研究を展開できる。