倫理規程

◎研究倫理

(制定の趣旨)

第1条 全国社会科教育学会は、社会科教育に関する科学的研究を行い、わが国における社会科教育学および社会科教育実践の発展に寄与することを目的としている。そこで、会員が誠実に研究を推進し、社会科教育研究の信頼性と公正性を高めることによって、社会的な理解を得て、社会科教育学および社会科教育実践の向上に貢献していくために、この研究倫理・投稿倫理・査読倫理規程を定める。

(研究に際しての基本的人権の尊重)

第2条 全国社会科教育学会会員は、研究の実施、研究成果の発表などの場において、つねに基本的人権に配慮しなければならない。

(研究に対する責任の自覚)

第3条 全国社会科教育学会会員は、客観性と公正性を担保した研究を目指し、つねに事実に基づく科学的立論に努めなければならない。

(改ざん、捏造、偽造の防止)

第4条 全国社会科教育学会会員は、研究に用いる際に、他者の教育理論、カリキュラム、学習指導案、授業記録などを改ざん、捏造、偽造してはならない。

◎投稿倫理

(盗作・剽窃の防止)

第5条 全国社会科教育学会会員は、他者の知的成果や著作権を侵してはならず、くれぐれも盗作・剽窃とならないように注意しなければならない。他の著作物から引用ならびに他の著作物を参照して述べる場合は本文中に必ず明記し、註あるいは引用文献、参考文献欄に記載する必要がある。

(差別的表現とされる用語などの使用に対する注意喚起)

第6条 全国社会科教育学会会員は、研究に際して差別的とされる用語や社会的に不適切とされる用語を使用してはならない。ただし、研究の目的上やむをえない場合や引用文中の語についてはこの限りではないが、使用する理由や引用文であることを明示する必要がある。

(二重投稿に対する注意喚起)

第7条 全国社会科教育学会会員は、他の学術雑誌等で既に公表した論文、あるいは他の学術雑誌等に投稿中の論文を本学会の『社会科研究』『社会科教育論叢』誌に二重投稿してはならない。

  1. 既に公表した論文あるいは投稿中の論文の一部を改編しただけの論文は二重投稿と見なす。例えば、一部のデータや事例、学習指導案や授業記録などを追加・変更しただけで、論文のテーマが同じ場合は二重投稿に該当する。
  2. 同じデータや事例を用いていたとしても、論究するテーマが異なる場合には二重投稿とは見なさない。例えば、「A氏の社会科教育論におけるカリキュラム構成原理」と「A氏の社会科教育論における学習指導原理」に共通して引用されているA氏の教  育論が多数に及んだとしても二重投稿には該当しない。
  3. 『社会科研究』『社会科教育論叢』誌に投稿し審査中の論文と同じ内容の論文を他の学会誌に投稿することを厳に慎むことは当然の倫理である。

(二重投稿防止の具体策)

第8条 全国社会科教育学会会員は、投稿論文の掲載が決定した時点で、過去3年間に掲載された論文および投稿中の論文のリストとともに、二重投稿ではない旨の誓約書を提出するものとする。誓約書およびリストの様式は別に定める。

  1. 提出された誓約書とリストを踏まえて、編集委員会が、二重投稿に該当するか否かの精査が必要であると判断した場合には、投稿者に当該の論文及び原稿(コピー可)の提出を求めることができる。
  2. 投稿者自身が、二重投稿に該当するのか否かの確定が難しいと判断した場合には、当該の類似した論文および原稿(コピー可)を編集委員会に送り、判断を求めることができる。

(投稿倫理違反の疑いが生じた場合の対応手順)

第9条 投稿倫理違反の疑いが生じ、調査の結果、投稿倫理違反が明白になった場合には、掲載が決定した段階の論文だけでなく、既に掲載された論文をも対象として、掲載を取り消すことがある。対応手順は、次のとおりである。

  1. 編集委員会は証拠書類をそろえ、内容を調査する。
  2. 編集委員会は倫理違反の程度を判定し、問題ありと判定した場合は、調査結果を投稿者に連絡する。
  3. 投稿者の説明に基づき、編集委員会は今後の措置について検討する。
  4. 編集委員会での審議結果は常任理事会で承認を得るものとする。
  5. 編集委員会は審議結果を投稿者に伝え、審議結果に従って適切に処置を行う。
  6. 編集委員会の処置に不服がある場合、投稿者は再審議を申し立てることができる。
  7. 投稿者からの再審議の申し立てがあった場合、会長は、第三者(編集委員以外の専門家)を交えた再検討委員会を組織して再審議を行う。
  8. 再検討委員会は再審議の結果を投稿者に伝え、審議結果に従って適切に処置を行う。

◎査読倫理

第10条 『社会科研究』『社会科教育論叢』誌の査読においては、次の点に留意するものとする。

  1. 投稿者と査読者双方の匿名性が保持されなければならない。
  2. 査読の全過程において、公正で客観的な評価と指摘内容の明確性が担保されねばならない。
  3. 査読結果に対して、投稿者から要求がある場合には、その反論が許されねばならない。投稿者からの反論があった場合、査読者は真摯に対応しなければならない。編集委員会の判断が必要とされた場合には、本規程の精神に則り、公正な判断を下さねばならない。

◎研究倫理・投稿倫理・査読倫理規程の徹底に関する学会の責任

第11条 全国社会科教育学会は、この研究倫理・投稿倫理・査読倫理規程の徹底と普及に努めるとともに、研究倫理・投稿倫理・査読倫理の具体的内容の明確化に向けて、継続的な努力を払うものとする。

附 則

この研究倫理・投稿倫理・査読倫理規程は、2020年12月1日より施行する。